放浪が足らない - 夏の終わり、秋の始まり - Takumi.la / Ellipse Tokyo

放浪が足らない - 夏の終わり、秋の始まり

私は大なり小なりずっと放浪を繰り返していたのだが、2015年に入ってから全く放浪できなくなった。どんなに小さな放浪でも良いから旅に出たいと思っているのに、どういう訳かまったく旅立つ気力が出ない。

 

そんな状態が半年以上続き、梅雨の最後の追い込みのような土砂降りの日、日本橋室町に出かける用事があった。
用事を終えたら既に夕方。
天気のせいか、本当はまだ明るい時間帯のはずが辺りは薄暗かった。
重苦しい気分だったので寄り道する気にもならず、ひたすら神田駅に向かっていると「日本橋ふくしま館」の看板が。
地方のアンテナショップを巡るのが好きな私も、ここは知らなかった。
ついさっきまで居た場所はこの手のショップの密集地帯だが、その日はどこにも入る気にならなかった。しかし、ここにはなぜか吸い込まれるように入ってしまった。

 

そこで見つけたのが、この浮き玉。
金魚関係の小物は昔から好きで集めているが、東北地方のものは初めてで、ちょっと意外だった。
東京や京都の和雑貨の店に置いてあるものより何だか素朴で、しかも店内に無造作に置かれているのだ。
手に取ると、素朴さと、そして一秒間遅れで繊細さが指先に伝わる。

 

ここでは、和三盆糖のシュガーマドラーなるものも見つけた。
これもまた素朴な外見ながら、優雅な色合い、しかも使った瞬間から溶けてしまう繊細なものだ。

梅雨が明け、素朴さに繊細さを秘めた福島の品々を大事に抱えてこの夏を過ごした。
夏の終わりに、ようやく旅に出ることを具体的に考えられるようになった。放浪が足らない生活が、限界に達していたのだ。

 

シュガーマドラーは賞味期限のあるものだが、ぎりぎりまで大事に取っておいてから使うつもりだ。数週間後にやってくる賞味期限は、私がやっと放浪に出発できる日付と同じだった。そして、秋が始まっても、金魚が2匹泳いでいる浮き玉は、私の机の上にずっと置いてある。

 

久しぶりの放浪の先は、福島の予定。

日本橋ふくしま館への行き方は、ここ http://midette.com/shopinfo/
 
購入してからずいぶん後になって、浮き玉は喜多方の木之本漆器店の製品だと知りました (http://www.aizu-kinomoto.com/goods/?id=bidoro&childid=ukidama#ukidama)。
 
そして、シュガーマドラーは会津若松の長門屋 本店(http://shop.nagatoya.net/?pid=91424955)。
 
何も知らずに心惹かれて買ったこの品々、どちらも会津地方の老舗が新しく生み出した銘品だったのですね!

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