雜賀雄二「軍艦島 - 棄てられた島の風景」

愛知県立芸術大学デザイン専攻に入学。デザイナーになることを目標にしていたが、写真の面白さに目覚め在学中に独学。長崎のカトリックの人々や建築物などを撮るようになる。1974年に端島(通称・軍艦島)に渡り、閉山し人がいなくなるまで撮り続けた。75年から長崎県立美術博物館を始めニコンサロンや海外の企画展に「閉山・軍艦島より」として写真展開催しつつ、81年に上京したが、無人化した端島を含め長崎近辺を何度も撮影に出向く。そして、86年にまとめられたのがこの写真集となる。
昨年2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として端島も世界文化遺産に登録されて話題になったが、この写真集が出た頃は、世間一般には忘れられた島であったように思う。いまでこそ廃墟が一般的なブームとなって色々な写真集が出たり世間で話題になったりしているが、これが出た頃はバブル直前の高度経済成長まっただ中の頃でもあり、世間の注目が廃墟に向かうことは少なかった。
写真にとって記録という機能は大きい。そもそもが南仏のサンルゥでエニプスが自宅の窓から風景を写真として始めて写しとった行為も、流れゆく時間を切り取って残すという想いであり、写真を撮るという行為はそもそもノスタルジックなんだともいえる。
色々な写真集を見て、写真家の視点を見ていくと、物・事・情の三次元で構成される世界が、写真という世界なのかなと思います。