渡辺克巳「新宿、インド、新宿」

中学卒業後、定時制高校に通いつつ新聞社の地方支局で補助員の仕事で写真の面白さに目覚め、卒業後就職するものの写真をやりたくて1962年に上京。東條会館のスタジオで写真を学ぶ。65年から新宿の街で1ポーズ数百円のポートレートを撮る”流しの写真屋”を始め、新宿の姿を撮り始める。73年カメラ毎日にて「新宿・歌舞伎町」を発表し話題となる。写真集「新宿群盗伝66/73」発刊。

その後、焼き芋屋、写真館経営、週刊誌カメラマンなどをやりつつ、新宿の写真を撮り続け、写真集、写真展などを重ね、98年には写真集「新宿 1965-97」で日本写真協会年度賞受賞。2006年肺炎により65歳で死去。死ぬまで新宿を撮り続けた写真家である。

1965年から2005年、高度経済成長からバブルなど、東京が急激に発展し、その象徴的な場所でもあった新宿の街とそこにたむろする、ヤクザ・娼婦・ゲイ・暴走族…。見栄と本音が闇鍋の如く混ざり煮えたぎっているような独特の空気を醸し出していた新宿がまさに新宿であった面白い時代から、独特の雰囲気が薄れてしまった時期への貴重な記録でもあり、そこにこだわり撮り続けたカメラマンの人生そのものの記録である。

この写真集は彼が残した新宿の写真と、かつての新宿を探しに…と旅したインドで撮られた写真とを合わせた写真集となっている。