東松照明「太陽の鉛筆」

愛知大学経済学科在学中から写真誌の月例コンテストに投稿し注目される。卒業後、岩波写真文庫のスタッフになり、その後フリーに転向。1959年、奈良原一高、細江英公らと「VIVO」設立。土門拳らと広島長崎の撮影を行ったりと、戦後と写真表現を思考するうちに、1969年以降沖縄に注目し、72年には沖縄に拠点を移す。
当初は「占領」というテーマで沖縄入りしたものの、占領下であってもアメリカに染まらぬ独自性を維持しているリアルな生活があることに心を揺さぶられ、彼の視線はイデオロギーを超え、自然環境に組み込まれたリアルな生活に向けられる。そしてその眼差しは国境を超えて東南アジアへと進んでいく。
題名となった太陽の鉛筆「The pencil of the sun」は、カロタイプと呼ばれる写真技術の発明をしたイギリスのWilliam Henry Fox Talbotによる世界初の写真集といわれる「The pencil of nature」に由来する。
この本は、雑誌の別冊だったのですぐに絶版となり、長い間、幻の写真集とも呼ばれていたが、彼が2012年末に亡くなってから3年後に「新編 太陽の鉛筆」として、原ネガからスキャンしたデータを晩年の彼の意図に沿うように刷新した ”太陽の鉛筆1975” と、1975年以降の作品の中から構成された ”太陽の鉛筆2015” の二冊セットの写真集「新編 太陽の鉛筆」が赤々舎より刊行された。
個人的には中学生の頃、この写真の最初に出てくる水平線が少し斜めに傾いた海と雲のみが写った写真、そのタイトルになっていた「波照間島」という島がずっと気になっていた。写真を見てから20年ほど経ち、波照間島に向かう石垣からの船で同じようにこの海を見ることができた時は感慨深かった。

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